モラルハザード

最近麻布十番界隈で話題になった(笑)「モラルハザード」というコトバ。
昨今新聞などで目にする訳(やく)は「倫理(感)の欠如」なのですが、著名なアルファブロガーが「誤訳だ」と指摘したりしています。どうなのだろう、と思ってjlogosを調べたら解決(笑)。
「モラル」は倫理・道徳という意味。「ハザード」は障害とか危険という意味(ゴルフでいうウォーターハザードとか、車のハザードランプとか)。
合わせると「倫理(感)の欠如」と言えなくもないし、大体そういう認識になっていると思います。
が、そもそもの「moral hazard」というコトバは「モラルハザード」というコトバ(日本)が広がる前から保険業界で使われていて、その意味は
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保険に加入することによって,保険者の注意がかえって散漫となり,保険事故の発生確率が高くなるような現象。例えば,火災保険に入ると火の用心を怠るとか,医療保険に入ると節制を怠るといったことをさす。モラル・ハザードが発生すると保険そのものが成り立たなくなるため,これを回避するために,事故の補償を全額行わないで自己負担の余地を残すなどの工夫が凝らされる(例:免責額,免責期間など)。

です。また上記は過失な場合ですが、故意のケースだと「保険金殺人」や「自らかけた火災保険で、自ら放火する」とかの意味もあります。
保険会社は、世の中一般の事象発生確率をベースに、手数料(会社運営費とか)とこのモラルハザードを上乗せして保険金を算出する訳です。自動車保険の場合はそんなに無いかもしれないですが、保険金殺人とかだとこれが結構大きな問題だったりするように思います。自殺でも保険金が降りるものは、保険金を見越して家族のために、、、というのも無い話ではないですし・・・。
最初に戻って「倫理(道徳)の欠如」というのは、保険の場合とちょっと違うのは違うけど、全く違う訳でもないですね。そもそも業界によって同じ韻を踏んだ違う意味は当然のようにある訳で、和製英語として定着している「モラルハザード」が一般に「倫理の欠如」と訳され、使われることは取り立てて騒ぐことではないように思います。
もちろん、元々の意味を知った上で、当事者には誤解無きよう伝える、というのがエレガントな対応ですよね。たとえば「クライアント」も、英語では「奴隷」とかの意味もありますので、「知らなかった」で失敗するのは本人自身。きちんとした知識を身につけて誤解の無いコミュニケーションにつながればと思います。
最近思うモラルハザードは、「コンプライアンス」というコトバを盾に「法律違反していないから何が悪い!」という姿勢の経営者とかですね。法律で定められているのは最低限の部分。また古い古い文献が元になって作られたものだから現代に対応されていないものも多いのが現実なので。それこそまさに倫理の欠如だと思います。
経営者に求められるものは「コンプライアンス」より「マナー」に近いなぁと思います。「マナー」はほとんどが法律で規制されたものではないですが、法律の意図する部分を多分に含んでいます。そもそもマナーは「人に迷惑をかけない。人と人が気持ちよく、継続的に末永い関係を保つ」ために必要なものなので、会社をやる上では一番意識しないといけないですね。

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